愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
それは彼のハカリゴト
年末はどこも人が多いから、あまり外に出かけたくないけれど。
沙彩から【クラスの女子で遊ぼう】とメッセージが来た時は、さすがに断れないと思った。
瀬野を家に置いて今日で4日目。
年末も間近なこの時期に友達と遊ぶことが決まった。
とはいえ11時に待ち合わせのため、起きる時間などはいつもとさほど変わらない。
まず8時までには絶対に起きて朝ご飯の準備をする。
瀬野も朝は得意なようで、私が起こさなくてもすぐに起きて家事の手伝いをしてくれるから、特にストレスはない。
家だと私に一切触れないため、どちらかと言えば家にいる方が気が楽である。
「今日、本当に遊びに行くの?」
「昨日から言ってるでしょ、そうだって」
朝ご飯をテーブルに置くなり瀬野が一言そう口にした。
どうやら私だけが出かけることに不服らしい。
「俺をひとりにするの?」
「あんたも出かければ良いじゃない」
「女の元へ行けって?」
「別にそれでもいいけど…この間行った仲間のところでもいいし、クラスメイトでもいいんじゃない?」
私には関係ないのだ。
ただ瀬野はムッと拗ねてしまう。
こういうところ、本当に子どもっぽい。