愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜



「だって夜まで帰ってこないよね?耐えられないよ俺、そんな長時間川上さんと離れるなんて…」

「何バカなこと言ってるの?
ずっと一緒にいるわけないじゃない」

「俺は一緒にいるつもりだったけどな…」
「本当にバカ。ご飯食べ終えたら洗い物してよね」


はぁと大きくため息を吐く。
相変わらず瀬野と話すだけで疲れてしまう。

もちろん瀬野の願いを受け入れず、ご飯を食べ進める。


その後、瀬野に洗い物を任せて私は準備を始めた。


今日はクラスの女子4人でスイーツビュフェに行き、3時に上映の映画を観る予定だ。

夜ご飯をどうするかは未定だが、もし行くとなってもそこは断るか。


何せ家に瀬野がいるのだ、仕方がない。


しばらく部屋でひとりだったのだが、瀬野がキッチンから戻ってくる。

どうやら洗い物を終えたようだ。


「洗い物ありがとう」
「これぐらいお安い御用だよ」


瀬野は快く家事をするタイプの人間のようで。
食後の洗い物もすぐ行動して済ませてくれる。


「他に何かやることはある?」
「今はないよ、大丈夫」

「じゃあ暇になっちゃったね」

「……ちょっと、隣に座らないでよ。
テレビでも観とけばいいじゃない」


恐らくわざとだろう、私の隣に座ってきて。

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