愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
黒のワイドパンツに深緑のトップスを合わせる。
昨日の女子らしい格好とは違い、少し大人っぽいコーデにした。
着替え終わって部屋に戻ると、瀬野はテレビをつけずにぼんやりとスマホを見ていて。
指を一切動かしていないため、恐らく静止画をぼーっと眺めているだけの様子。
そんな瀬野を見て思わずため息を吐く。
どれだけひとりになるのが嫌なのだか。
「……本当に面倒くさい」
そう一言呟いて、私は瀬野の隣に腰を下ろす。
さらに大サービスで頭を傾け、彼の肩に置いてやった。
「これで満足?」
「ううん、まだ足りない」
けれど彼はまだ物足りないようで、私の肩に手をまわし抱き寄せてくる。
さらに密着状態になり、さすがの私も鼓動が速まるのがわかった。
「誰が触っていいって許可したの?」
「川上さんが触れてきたから、俺もいいのかなって解釈した」
「はぁ…本当に呆れるんだけど」
「俺を追い出す?」
「……別に、私から触れたから問題ない。
それ以上変なことしたら許さないけどね」
瀬野なら簡単に服を脱がしてしまいそうだ。
そこは注意しなければならない。
「じゃあキスは“変なこと”に入る?」
「……っ、ふざけたこと言わないで」
乱れるな自分。
これは瀬野の策略だと思い込む。
単に私の反応が見たいだけなのだ。