愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
*
早く家を出たため、集合場所に一番乗りだった私。
まだ集合時間まで1時間近くある。
そのため近くのショッピングモールで時間を潰し、みんなと集合した。
「愛佳って本当に何着ても似合うよね」
沙彩と会って第一声がそれだった。
少し羨ましそうな眼差しを向けられる。
「そんなことないよ…私なんて」
「愛佳ちゃんはもっと自信を持つべきだよ!」
沙彩だけでなく、真弥も私を推してくる。
嬉しいような嬉しくないような…謙遜するのも面倒くさい。
「そんなことよりも愛佳!
瀬野とはどうなったの!?」
会って早々、興奮したように質問を投げかけてきたのは春美。
彼女の一言で、クリスマスの日のことを聞き出そうと迫られてしまう。
沙彩、真弥、春美。
3人とも私と瀬野が恋関係であることを望んでいるため、今日一日面倒な予感がしてならない。
断れば良かったと後悔しても、もう遅い。
「絶対もうすぐ付き合うよね、ふたりって」
「冬休み明けの大ニュース確定じゃん!」
一緒に住んでいることはもちろん避け、ただ駅まで帰ったと告げただけなのに。
3人とも誤解が過ぎる。
それだけで“もうすぐ付き合う”だなんて。