愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜






早く家を出たため、集合場所に一番乗りだった私。
まだ集合時間まで1時間近くある。

そのため近くのショッピングモールで時間を潰し、みんなと集合した。


「愛佳って本当に何着ても似合うよね」

沙彩と会って第一声がそれだった。
少し羨ましそうな眼差しを向けられる。


「そんなことないよ…私なんて」
「愛佳ちゃんはもっと自信を持つべきだよ!」


沙彩だけでなく、真弥も私を推してくる。
嬉しいような嬉しくないような…謙遜するのも面倒くさい。


「そんなことよりも愛佳!
瀬野とはどうなったの!?」


会って早々、興奮したように質問を投げかけてきたのは春美。

彼女の一言で、クリスマスの日のことを聞き出そうと迫られてしまう。


沙彩、真弥、春美。

3人とも私と瀬野が恋関係であることを望んでいるため、今日一日面倒な予感がしてならない。


断れば良かったと後悔しても、もう遅い。


「絶対もうすぐ付き合うよね、ふたりって」
「冬休み明けの大ニュース確定じゃん!」


一緒に住んでいることはもちろん避け、ただ駅まで帰ったと告げただけなのに。

3人とも誤解が過ぎる。
それだけで“もうすぐ付き合う”だなんて。


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