愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜



「3人とも誤解しすぎだよ、付き合うなんてあり得ないから…!」


焦った様子で否定してもニヤニヤされるだけ。

もう誤解を解く方法はただひとつ、裏の自分を見せるしかなさそうだ。


それは避けたいため、ここはグッと我慢する。


「やっぱり瀬野が危ない男だっていうの、ただの噂だったんだね〜」


スイーツビュッフェを予約していたホテルに着き、席に案内されるなり沙彩が何気なく呟いた。

スイーツに話題転換するかと思いきや、まだ瀬野の話である。


恋とか愛とか、そんな話が気になるお年頃なのだ。


「瀬野くんはすごく優しくて良い人だよ。
危ない人っていうのはやっぱり考えられないなぁ」


ここは必死で否定しておく。

何せバレてしまえば私も秘密をバラされてしまう恐れがある。


「良い感じの愛佳がそう言ってるからね」
「えっ…涼介くんに悪い噂があるの?」


ここで話はおさまったかと思いきや、真弥の一言でまだ瀬野の話が終わらなくなってしまう。


「真弥には刺激の強い話だからダメだね。
危ない男っていうのもまた推せるけど」

「春美ちゃんも知ってるの!?
あたしだけ知らないのか…」


相当気になっている様子の真弥だが、ここは話の方向を変えたい。

< 177 / 600 >

この作品をシェア

pagetop