愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
階段をのぼらされ、303号室の部屋に連れ込まれて。
「さっ、今から楽しい時間だな川上さん」
ひとりの男が私を見て笑う。
ゾッとするほど気持ち悪かった。
怖がるべきだろうか、泣き叫ぶべきだろうか。
必死に考えを巡らせるけれど、何も思いつかない。
変に抵抗したところで相手を刺激するだけだ。
無理矢理席に座らされる。
一番下っ端らしき黒髪の男は座らず、私と向かい合う形で立ってスマホを向けてきた。
ドクンと心臓が嫌な音を立てる。
この後に何をされるのか、考えなくてもわかった。
けれどもう両側には男が座っており、逃げられないようガッチリと腰や肩を掴まれている。
恐らくこの中で一番偉いのは、前から私の行手を塞いでスマホを奪ってきた男だろう。
耳にはいくつものピアスがつけられており、毛先が紫なのが特徴的。
雰囲気が他のふたりと違った。
それに先ほどの従業員にもこの男が指図していたのだ。