愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
テレビの音が流れる中でご飯を済ませた私たちは、各々動き始める。
瀬野には洗い物をしてもらい、私はまわしておいた洗濯物を干す。
切り裂かれた服はすでにゴミとして袋にまとめている。
できればもう見たくもない。
「ちょっと早いけどもう寝ていい?」
洗濯物を干し終えるなり、瀬野に一言声をかけた。
ずっと全身がだるくて仕方がない。
ドッと疲れが私を襲っていて、今すぐにでも眠れそうだ。
「大丈夫だよ、もう俺も寝よう」
「別に瀬野は起きてていいんだよ?」
「いや、明るいと寝にくいだろうから」
「特に明るくても寝れるけど…」
「川上さんと一緒に寝たいんだよ」
いつもの穏やかな笑顔が、なぜか安心する。
全部瀬野の罠だとしても逆らえない感情。
瀬野より先に寝る準備を済ませ、ベッドに入る。
そういえば、瀬野が持っていると言う写真と動画。
早く消してもらわないと。
家に帰れたことの安心感ですっかり忘れていた。
まあ明日にでも言えばいいか、と。
なんだかもう余力すらなく、瀬野に言い返す気すら湧かない。
ちょうどその時、部屋が暗くなって常夜灯だけが辺りを照らす。
瀬野が電気を消したのだ。