愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「……さむっ」
川上愛佳、高校2年。
両親は事故で他界のため、現在は一人暮らし。
正確に言えば中学までは叔母の家で住まわせてもらっていたのだが、邪魔者扱いされて高校を機に家から追い出されてしまった。
けれどお金の援助はしてくれているため、文句はなかった。むしろひとりの方が息苦しくない。
自転車に鍵をさし、それを押しながら道路へと出た。
学校から家までは自転車で15分ほどで、今いるショッピングモールからは10分もあれば着くだろう。
明日提出の課題も終わっているし、今日は家事をした後すぐ寝られるはずだ。
道路に出て、自転車に乗って冷える夜道を駆け抜ける。
マフラーや手袋をつけていても直接肌に寒さが伝わった。