愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「……ふはっ、本当にかわいいね川上さんは」
「う、うるさい…!」
「ほら、そんなに怒らないで。
ご飯食べよう」
ニコニコと爽やかな笑みを浮かべている瀬野に対して、私は腹が立ってしまうけれど。
部屋のテーブルに置かれたご飯を見て、本当に作ってくれたのだと知る。
「……ご飯、ありがとう」
私が寝ている時に、わざわざ起きて作ってくれたのだ。
そこは感謝するべきだと。
「いつも川上さんが作ってくれてるんだから、お礼を言うのは俺の方だよ」
「でも他の家事もしてくれてるでしょ」
「住まわせてもらってるんだから当たり前だと思うよ。これからはたまに俺もご飯作らせてよ、これで料理できるってことが証明できただろうから」
相変わらずニコニコ笑っている瀬野。
どこか嬉しそうだ。
そんな瀬野とテーブルを挟んで向かい合い、腰を下ろす。
テーブルには味噌汁と焼き魚、卵焼きにきゅうりの浅漬けが並んでいた。
本当に料理ができたんだ。