愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
不安のキザシ
瀬野とふたりで過ごした大晦日。
特に何か起こるわけでもなく、ふたりで年を越す。
瀬野と初詣に行く気もなかった私はすぐ寝たけれど、彼は少し不服そうだった。
そのため起きてから、ちゃんと初詣に行ってあげたけれど。
「川上さん、おはよう」
「……ん」
新年が訪れて3日が経った。
気づけば学校まで1週間を切っている。
冬休みが明けたらもう、瀬野との関係は切れるのだろうか。
ここ最近、その疑問ばかりが浮かんでならない。
瀬野は至って普通だし、これからも関係が続きそうな気しかしないのだ。
「どうしたの、今日。
早いね」
やっぱり長期休みというのは、だらけてしまうもので。
9時が過ぎてもまだ眠ってしまう時があり、そろそろ習慣を立て直さないといけない。
今日も9時が過ぎていたけれど、瀬野は起きていた。
さらには私を起こしてきたのである。
「実は今日、予定が入っちゃって。
だから川上さんを安全な場所に連れて行きたいんだ」
「安全な、場所…?」
「仲間のところ。ちゃんと幹部のみんなに集まってもらってるから」
まだ頭がぼーっとする中で、少しずつ瀬野の言葉を理解していく。
つまり私は、あのアジトに連れていかれるわけか。