愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「じゃあ一応、鍵閉めとこっか」
「また?今日はあんたが危険だからいい」
「こんなところで手を出したら、バレた時大変なことになるよ。そんなリスクは負いたくないから安心して大丈夫」
「じゃあどうして鍵閉めるの?」
「たまにいるんだ、ここって何の部屋だーって言ってドアノブを回す生徒が」
つまりここにいることがバレたくないということか。
確かに相談室にいるとなれば、あらぬ誤解を生みかねない。
「でもまあ、鍵さえ閉めればここが一番安全だからね。学校で会うなら相談室かなって。食堂や教室だと嫌だろうから」
「当たり前でしょ。
お弁当の中身も同じなんだし」
「一回バレてみたい思いはあるけどね」
「怪しまれた時点であんたのお弁当はないから」
「ふは、やっぱり厳しい」
中央にある長いテーブルの上にお弁当を置く。
もちろん瀬野とは隣同士ではなく、テーブルを挟んで向かい合う形で座る。
念には念を、ということである。