愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
同じような人間を見つけてしまえば、自分の弱さを見せてしまうかもしれない。
「じゃあ、電気消すね…」
一度立ち上がった私は電気を消し、隅に寄った瀬野の隣で寝ることにした。
いつもは広々としたベッドが、少し窮屈だ。
「……あの、川上さん」
「どうしたの?」
「そんなギリギリにいたら落ちちゃうよ」
「寝相悪くないから大丈夫」
あんなことされたのに、警戒心もなく近づこうとは思えない。
それなら落ちるギリギリにいた方がマシだ。
「……ごめん、怒った?」
「ううん、怒ってないよ。
ただ少し怖かったなって…」
わざと落ち込んだ声を出す。
怖いと思ったのも本当。
ただ急に迫られたから“怖い”のではなく、あの危険な表情が怖いと思ったのだ。