愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜



「……そんな昔のこと、もう忘れた」
「顔が赤くなってる」

「…っ、う、うるさいなもう…!
早くご飯食べるよ!」


こいつは私の反応を楽しむようなことしかしない。


「うん、食べよう。川上さんの作ったお弁当を食べるのが、唯一学校での楽しみなんだなぁ」

「大袈裟すぎ。それで喜ぶと思ってんの」


なんて口ではそのように言うけれど、少し嬉しいと思ってしまった私は単純バカ野郎だ。

それでも誰かに作った料理を残さず食べてくれるということは、やっぱり嬉しいことである。


「ねぇ、今日ここに呼んだのはどういう目的で?」


前もって誘われるのならまだしも、直前になって誘われたとなれば何か意図があると思ったため質問してみる。


「鋭いね、川上さんは」
「もったいぶらなくていいから」

「実は今日さ、予定が入ったんだ。だから陽翔と光希に川上さんを迎えにくるよう頼んでるから、またアジトで待っててほしい」

「それも敵を油断させるため?」
「まあそうだね」


一体いつまで続けるつもりなのだろう。
いい加減、その裏切り者をなんとかできないのだろうか。

聞いたところで私には何もできないのだから、黙っておく。

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