愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜



「……学校では手を出さないんじゃないの?」

「鍵閉めてるからバレる確率の方が稀だよ。
だから大丈夫」


瀬野を信じた私がバカだった。
先ほどと言っていることが違う。


「嘘つき」
「川上さんといると考えが変わるんだよね」

「はあ?意味がわからない」
「はい、俺に癒しをちょうだい」


そう言って、私を自分の元へと引き寄せる。
抵抗しない体は思うがままに抱きしめられた。


「……これが癒しなんだ?」

「もちろん川上さん限定だよ?
こうしてると落ち着くんだ」

「毎日毎日くっついて、よく飽きないね」
「飽きるわけないよ」


学校でも触れてくるぐらいなのだから、そうなのだろう。

キッパリと言い切った瀬野。
ここは折れて、抵抗することをやめる。


「川上さん」
「……なに」

「制服って危険だね」
「は?」


不可解な瀬野の言葉に思わず顔を上げると、至近距離で彼と目が合った。

もちろんすぐに俯いたけれど。


「手を出しやすい格好だね」
「変なところ触らないでよ?」

さりげなく際どいところを触れてくる時があるのだ、油断は禁物である。


「変なところってどこ?」
「……は」

「ちゃんと言ってくれないとわからないな」
「……っ」


意地の悪いことを言うものだ。
私の羞恥心を駆り立たせてたいのか。


「言わない」
「じゃあどこに触れても大丈夫だね」


クスクスと笑う瀬野に言い負かされた気分だ。
先ほどの仕返しだろうか。


「ダメ」
「ダメなの?じゃあどこならいい?」

「これ以上はダメ」
「んー、それはひどいよ」


甘えるような声。
まったく、何にでも化けられる瀬野は本当に危険だ。

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