愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
今日も長い一日だった。
偽りの自分を演じている時ほど、時間が長く感じるのは仕方のないことだろうか。
いつからだろう、ひとり以外の時に“良い子”を演じるようになったのは。
ほぼ無意識のうちだったのかもしれない。
少しでも邪魔者扱いされないよう、最初は必死だった。
自分の居場所を探していたけれど───
結局私はひとりだった。
そのため楽に生きるための方法を選ぶ他なかった。
強くなりたいんじゃない。
私は強くなるんだ。
信号が赤に変わる。
ゆっくりとブレーキをかけ、止まった。
学校の最寄りである駅が見えている。
さらに駅前には簡易ベンチとブランコが設置されているだけの小さな公園もある。
そこは学生の溜まり場なのだが、冬になれば寒いため誰も集まらない。
今日は一段と冷え込むため、きっと誰もいないだろう。