愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「あいか、ちゃ…」
「どうしたの!?何があって…」
まだ意識があるようで、途切れ途切れに私の名前を呼ぶ光希くん。
あまりに突然のことに頭が追いつかず、まずは後ろにいた陽翔くんに助けを求めようとしたけれど───
「……っ!?」
突然体に鈍い痛みが走って。
あっという間に視界が暗くなるのがわかった。
体が動かなくなり、そのまま倒れ込んでしまう。
一瞬で意識が朦朧となった。
「う…」
誰がこんなこと。
どうすればいい、体の自由が利かない。
お願い誰か、助けて。
助けて瀬野───
「この女が川上愛佳です」
「目立つ前に早くここから運ぶぞ。
それから───」
複数の足音が聞こえる。
複数の声が聞こえる。
けれど朦朧とする意識の中では、その正体を確認することができなかった。
「よくやったな、陽翔」
それから間も無くして、私の意識はそこで途切れてしまった。