愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
二人はイツワリ
目が覚めるとそこには整った顔立ちの男がいた。
「……っ!?」
背中には手がまわされており、慌てて振り払って起き上がる。
そこにはクラスの人気者、瀬野がいた。
「……へ」
アラームが鳴るまであと30分。
それほど早くに目が覚めた私は、布団から出た寒さに襲われ我に返った。
そうだ…昨日、瀬野が家に泊まりにきたのだ。
不思議な縁だった。
まさか男を家に呼ぶ日が来るなんて。
「…ん」
その時、瀬野がピクリと動いた。
起きるかと思いきや、寝返りを打っただけだった。
また小さな寝息が聞こえてくる。
寝顔まで綺麗でかっこいいだなんて。
「……起きよ」
瀬野に布団をかけ、暖房をつける。
部屋はひどく冷え込んでおり、まだベッドにいたいところだがそれは無理だ。