愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
少しのモヤモヤ
「うん、特に異常はないね」
次の日。
再度医師に診てもらい、異常はないということで正式に退院が決まった。
「あまり無茶はしたらダメだよ?瀬野くんも、あまり川上さんを危険な目に晒さないようにね。
今回は大丈夫だろうけど、もし一生痕が残る怪我なら大変なんだから」
どうやら医師は瀬野と親しい仲のようで、ふたり慣れた様子で会話を交わしている。
「はい、俺も後悔してます」
「だろうね。瀬野くんの表情からそれが伝わるよ。まあもし痕が残ったら、瀬野くんが川上さんを娶ればいいのか」
「なっ…!?」
この医師は何を言い出すんだ。
娶るだなんて、そんな簡単に言っていいことではないだろう。