愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「このままいけば煌凰との闘いも言ってるうちに来るな」
「……はい、覚悟はしてます」
「ついに煌凰と衝突か」
少なからず重い空気が車内に流れる。
私はただ黙ることしかできない。
「これで統一できたら仁蘭の目的が達成できるんだけどな」
「統一してみせます、俺たちの代で」
「……ああ、期待してる。
けど負ければ平和な街まで荒れるぞ」
その言葉にゾッとした。
仁蘭が負けるリスクもあるのだ。
万が一その展開になれば、平和な街までもが荒れてしまう───?
「大丈夫です。
統一させて、裏の街も安定させます」
「涼介ならそう言うと思った」
瀬野の目は本気だった。
今の彼に対して、少し怖いと思ってしまう。
「それにしても、変わったなぁ涼介」
「え、俺ですか…?」
なんとなくピリついた空気が嫌だなと思っていると、風雅さんの一言で話が変わり、空気が和らぐのがわかった。
「どう見ても変わっただろ。ひとりの女の子に執着してるし、何より自然体になったな」
「自然、体…」
確かに瀬野は初めの頃に比べ、色々な表情を浮かべるようになった気がする。
それを風雅さんも感じ取っていたようだ。
私に執着されるのは困るけれど。