愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「早く離れて」
「今日はご褒美くれないの?」
「…っ!?」
「ご褒美?何だそれ」
「な、な、何でもないです!」
こいつ、絶対にわざとだ。
昨日の寝る前の出来事を今持ってきたのだ。
もちろん知るはずもない風雅さんは気になるに決まっている。
慌てて何でもないと伝えるけれど、私の反応でバレてしまったことだろう。
「本当にあんたって最低…!」
「そんなこと言わないで」
「それにあんた今日何もしてないでしょ!」
「頑張ったらご褒美くれるの?」
しまった、言い方が悪かった。
瀬野の目がキラキラし始める。
「…っ、煌凰を倒して統一したらもう一度してあげる」
わざと難しい条件を突きつける。
簡単な理由で許してしまえばすぐに調子に乗るのだ。
「中々難しい条件だね。でもいいや、そっちの方がやる気出るし。じゃあその条件を満たしたら、今度は頬じゃなくて唇にしてくれる?」
「…っ!?」
ハードルを上げてくる瀬野。
慌てて首を横に振るけれど。