愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜


「ごめんね、川上さん。
響は…女嫌いなんだ」

「あっ、そうなの…?」


だから今の反応か。
そうだとしたら仕方がない。

けれど女嫌いだというのに、響くんの顔は整っており、女の人からモテそうだからお気の毒だ。



「だから気にしないで大丈夫」
「うん」


一応笑顔を浮かべ、瀬野の隣を歩く。
響くんは風雅さんと何やら話している様子だった。

それから4人で地下の通りを歩き、地下室へと向かう。


「あっ、涼介さん!
もうみんな集まって…」

「風雅さんもいらしたんで…」


大きな扉の前に立つ見張りの男ふたりが瀬野の姿を見るなり、嬉しそうに目を輝かせた。

けれど───


「…っ、涼介さん!?
どうして雷霆の幹部が…!」

ふたりの目つきが変わる。
それは恐らく、響くんを見てだろう。


「ああ、大丈夫だよ。
安心して、俺たちの味方だから」

「…えっ?」


瀬野の言葉に混乱するふたり。

けれど風雅さんも大丈夫だと頷いたことにより、戸惑った様子で大きな扉が開かれた。


中の人たちも反応は同じで。

最初は瀬野や風雅さんの姿を見て嬉しそうにしたけれど、響くんを見るなりすぐざわつき始めた。

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