愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「あっ、愛佳ちゃんだ…!」
いつもと同じ様子だったのは、幹部のみんなだけだった。
すでに光希くんや悠真くん、翼くんは寛ぎスペースで待っていた。
光希くんは私の姿を見つけるなり、すぐ駆け寄ってくる。
「大丈夫だった…!?お医者さんはちゃんと大丈夫だって言ってたの…!?」
それもすごい勢いで、力強く抱きつかれてしまう。
あまりの勢いに、少しだけ苦しかった。
「うん、異常はないよって言われたから、本当に大丈夫だよ!」
安心させるようにして光希くんに笑いかける。
彼は目に涙を浮かべながらも、ようやく安心してくれたようで。
「よ、よがった…本当に僕のせいでごめんね…」
「光希くんは悪くないよ!だから気にしないで?
それに光希くんこそ怪我は大丈夫?」
「僕はバッチリだよ!
こう見えて丈夫だから!」
なんて笑う光希くんだったけれど、あれほど力強く蹴られていたのだ。
恐らく痣になっているだろう。
「しばらくは安静にしててね」
「ありがとう!
でも安静にするのは愛佳ちゃんの方だよ」
それでも私のことを優先する光希くんは、本当に優しい人である。
ようやく光希くんが安心してくれ、ホッとしたのも束の間。