愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「これでようやく幹部全員が揃ったな」
「おかえり、東郷くん」
悠真くんは響くんを見るなり安心したような表情をし、先ほどまでゲームをしていた翼くんも、顔を上げて響くんを迎え入れる。
「ああ、久しぶりだな」
その時初めて響くんが微笑んだ。
そんな彼を見て、翼くんも優しい表情をしていて。
初めて見るふたりの表情に、場が和むのがわかった。
「ふふっ、翼くんが嬉しそう!実はね愛佳ちゃん、ひーくんも涼ちゃんと翼くんと同じ中学で、3人の仲は深いんだよ!」
そんな様子を見た光希くんもどこか嬉しそうで。
だから響くんも翼くんも柔らかな表情をしていたのか。
「光希、その呼び方やめろ」
「えーっ、いいじゃん!ひーくんはひーくんだもん!」
けれど響くんは“ひーくん”という呼び方を気に入らないようで、不機嫌な表情へと変わりそこを指摘していた。
「……うぜぇ」
「もー、涼ちゃんはあんなに優しいのにどうしてひーくんはそんなに怖いかなぁ」
少しお怒りの響くんを見て、唇を尖らせる光希くん。
「……あっ、そうだ!」
「光希くん?」
その時、光希くんが何かを思いついたようで。
目ニヤニヤしながら私に視線を向けてきた光希くんに、何やら嫌な予感しかしない。