愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「光希、あまり響をいじめないであげてね」
「……はーい」
「川上さんも驚かせてごめんね」
「響くん、大丈夫なの…?」
「実は響は女嫌いなんじゃなくて、驚くほど女に免疫がないだけなんだ。今みたいに触れられただけで、あんな風になってしまうんだよ」
それって結構重症ではないだろうか。
クールな響くんはまともそうに見えたけれど、どうやら彼も個性が強かったようだ。
「雷霆にもこの弱点はバレてないみたいで良かったよ」
「ひーくんは女嫌いで通ってるもんね!」
「確かに響のアレがバレたら、あいつは終わりだな」
風雅さんまでもがそのように危惧するぐらいなのだ。
あそこまで耐性がないと、どうやら不利のようだ。
「この際、愛佳ちゃんで克服する練習したらどうかな!?ね、いい考えでしょ涼ちゃん」
「それは無理かな」
「むっ、どうして!」
「川上さんが他の男と触れ合うだなんて考えられない」
そう言った瀬野が私の隣にやってきて、腰に手をまわしてくる。
私がここで抵抗できないことをいいことに、こんな風に触れてくるのだから本当に性格が悪い。