愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜



「光希、あまり響をいじめないであげてね」
「……はーい」

「川上さんも驚かせてごめんね」
「響くん、大丈夫なの…?」

「実は響は女嫌いなんじゃなくて、驚くほど女に免疫がないだけなんだ。今みたいに触れられただけで、あんな風になってしまうんだよ」


それって結構重症ではないだろうか。

クールな響くんはまともそうに見えたけれど、どうやら彼も個性が強かったようだ。


「雷霆にもこの弱点はバレてないみたいで良かったよ」

「ひーくんは女嫌いで通ってるもんね!」


「確かに響のアレがバレたら、あいつは終わりだな」

風雅さんまでもがそのように危惧するぐらいなのだ。

あそこまで耐性がないと、どうやら不利のようだ。


「この際、愛佳ちゃんで克服する練習したらどうかな!?ね、いい考えでしょ涼ちゃん」

「それは無理かな」
「むっ、どうして!」

「川上さんが他の男と触れ合うだなんて考えられない」


そう言った瀬野が私の隣にやってきて、腰に手をまわしてくる。

私がここで抵抗できないことをいいことに、こんな風に触れてくるのだから本当に性格が悪い。

< 349 / 600 >

この作品をシェア

pagetop