愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜



「そうじゃないとひーくん、一生あんな感じだよ!女の子と関わりを持たずに生涯を終えるだなんて…!」

「それじゃあ川上さん以外でお願いするよ」

「愛佳ちゃんが一番安心できる相手でしょ!他の女の子が知ったら、『かわいい〜』とか言ってさらにトラウマ埋め込まれるよ!」


確かにクールでポーカーフェイスな響くんが、あそこまで女に耐性がないと知ったら多くは『かわいい』と思うかもしれない。

元々私は男の人に興味はないし、あれはかわいいというより心配してしまうけれど。


「愛佳ちゃんが適任なのに…」
「涼介も頑固なんだな」

「それなら乙葉さんも適任だと思いますよ。優しくて、鈍感天然なところもあるので川上さんのように心配してくれるタイプかと」

「お前はバカが。
俺の大切な乙葉を他の男に差し出してたまるか」

「俺も同じ気持ちですよ風雅さん」
「…っ」


何を言い出すかと思えば、そんなこと。

風雅さんと同じ気持ちってことは、瀬野が私のことを大切に思っている…?

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