愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「だってだって、愛佳ちゃんも知りたいに決まってるよ!ね!?」
「え…あ、うん…」
突然私に振られたため、驚いたけれど。
素直に頷いた私。
別に瀬野に聞くほど知りたくはない…と、思い込むことにする。
「ほら!」
「ったく、同感者を集めたところで無駄だ。川上さんも、これを機に聞いてやってもいいと思うけどな。涼介のためにも」
「……え」
瀬野の、ためにも?
ふと違和感を覚えるような言い方に、複雑な感情が広がる。
けれど風雅さんはそれ以上、ふたりの話をすることはなかった。
「あー!風雅さんだ!」
瀬野が再び地下室に戻ってきたのは、数十分ほど経ってからだった。
それも隣には莉乃ちゃんを連れていて。
風雅さんを見つけるなり、莉乃ちゃんは瀬野から離れて彼に駆け寄っていた。
「久しぶりだな莉乃」
「お久しぶりです!」
莉乃ちゃんはニコニコと嬉しそうに笑って、風雅さんに頭を撫でられていた。
「元気にしてたか?」
「うん!涼介がいたから元気に過ごせたよ」
「そうか、良かったな」
嬉しそうな莉乃ちゃんを見るたび、その光景から目を背けたくなる。