愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「……考えといてあげる」
「えー、今は答えをくれないの?」
「学校では付き合ってるフリをしてるんだからいいでしょ」
「フリじゃ意味ないんだよ」
「それにもう恋人のようなことしてる、私たち」
簡単に触れてくるし、油断をすればすぐにキスをしてくる。
「んー、じゃあ恋人でもいいよね」
「……別に、瀬野に任せる」
「相変わらずズルイ言い方して」
静かな空気が流れる部屋で、瀬野に唇を狙われてしまう。
もちろん私は抵抗することなく、素直にそれを受け入れていた。
「……近い」
キスをした後も、瀬野はすぐそばで私の頭を撫でてくる。
思わず目を逸らしたけれど、彼は小さく笑った。
「川上さん、照れてる」
「…っ、触るな」
熱を帯びる頬を指で突っつかれてしまい、余計に恥ずかしさが増す。
「本当にかわいいなぁ、川上さんは。
もう今日は学校休みたいぐらい」
「それはダメ」
「川上さんならそう言うと思った。
じゃあ今日も昼休み、ご飯を一緒に食べよう?」
「…そろそろバレても知らないよ」
「それは困るなぁ。バレないように、こっそり行動しないといけないね」
そんな“危ないこと”をしているような言い方。
というよりも、事実なのだろうか。