愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「……嘘、余裕たっぷりのくせに」
「今は本気で余裕なんてないよ。
これ以上刺激されたら手を出しちゃうかも」
「……もう寝る?」
「まだ寝たくないなぁ。今日の川上さん、やけに素直だから寝るのは惜しい」
「全部瀬野のせいだから」
「えーっ、俺のせいか。
それは責任とらないといけないね」
うん、絶対に瀬野のせい。
こんなにも私をおかしくさせるから。
「……うん」
「どう責任取ればいい?」
わざと言わせようとしてくる瀬野。
もちろん私は口を固く閉ざして、目で訴える。
「…っ、そんな誘うような顔して」
「わかってるなら聞かないで」
「もー、俺の負けだよ川上さん。
今日はいつもより刺激の強いキスをしようか」
ふと瀬野の纏う雰囲気が変わる。
危険なニオイがした時にはもう、私の唇は彼のそれで塞がれていた。
甘くて、息が乱れるようなキスが始まる。
それを待っていたかのように私は目を閉じ、瀬野の肩に腕をまわして受け入れた。