愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
彼を縛るモノ
それは甘く、貪るようなキスだった。
「せ、せの…んっ」
名前を呼ぼうとすれば、またキスをされてしまう。
あのデートの日から、もう何度目かの夜だった。
その日以降、やけに瀬野が積極的で。
今も瀬野は私を抱きしめて離さない。
「ま、待って…」
さらに瀬野は大胆にも服の中に手を入れてきて。
体温の上昇が激しくなる。
「キスだけじゃ飽きるだろうから」
その表情や声に余裕はない。
ここ最近、彼はどこか焦っているような気がする。
「……っ」
恥ずかしくなってギュッと目を閉じた。
けれど余計、瀬野の手に神経がいってしまう。
鼓動が速まり、全身が熱くなる。
「顔、真っ赤だね。
恥ずかしい?」
「……言わないで」
けれど瀬野は、いつも途中で止める。
服を脱がせることもしない。
そして止めるタイミングはいつも───
私の照れた顔を見てからだ。
今も顔が熱くなって、恥ずかしくてたまらない。
すると瀬野の手は止まり、今度は私の頭を撫で始めるのだ。