愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「川上さんは食べて大丈夫だよ」
「はぁ?まさか抱きしめられた状態で?
瀬野はどうすんの」
「んー、あとで食べる」
「最低。私がせっかく作ってあげたのに」
それを無駄にするだなんて、絶対に許さない。
「……やっぱり今食べる」
「当たり前でしょ。
もし食べないなら、もう二度と作ってあげない」
「それは嫌だよ川上さん、ごめん」
「…じゃあ私の隣に座って」
ここまで強く言ってようやく私から離れた瀬野。
本当に苦労のかかる。
その後、瀬野とご飯を始めた。
昼休みが終わる5分前に、私たちは教室へと戻る。
一緒にいることがバレたら面倒なため、お互い別々に。
先に教室に戻った瀬野には、もういつも通りの笑顔を浮かべていた。
本当に切り替えが早いというか。
作るのが上手いというか。
私の前では手加減などしないのだから大変だ。
早く救ってあげられる道を作らないと。
そのためにはまずアジトに行って───
「……あ」
そういえば私、大事なことを忘れていた。
アジトに行ったとして、“彼”がいるという確率は100ではない。