愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜



とはいえ瀬野に聞いてしまえば不審に思われることだろう。

私は沙彩たちと遊ぶ設定にしているのだ。
けれどここで諦めるわけにはいかない。



何か他にいい方法は───


あった。
瀬野たちをよく知る風雅さんの元に行けばいいのだ。

前に一度、瀬野に連れて行ってもらった店に行こう。


もし風雅さんがいなくても、あの場でもうひとりいたオーナーさんらしき人に彼の連絡先を聞けばいいのだ。

瀬野の名前を使って良いように言えば教えてくれるだろう。


なんて、相変わらずズルイことを考える頭だ。
それでも私に時間はない。

できれば今日にでも瀬野のお母さんに会いたいけれど、それは難しいだろうか。


とにかくできる限りのことはしようと心に決め、放課後を迎えた。


もちろん瀬野に嘘だとバレないよう、まずは彼が教室を後にするまで沙彩と話していた私。

彼女も予定がないということで、駅まで一緒に帰ることになった。

< 422 / 600 >

この作品をシェア

pagetop