愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
とはいえ瀬野に聞いてしまえば不審に思われることだろう。
私は沙彩たちと遊ぶ設定にしているのだ。
けれどここで諦めるわけにはいかない。
何か他にいい方法は───
あった。
瀬野たちをよく知る風雅さんの元に行けばいいのだ。
前に一度、瀬野に連れて行ってもらった店に行こう。
もし風雅さんがいなくても、あの場でもうひとりいたオーナーさんらしき人に彼の連絡先を聞けばいいのだ。
瀬野の名前を使って良いように言えば教えてくれるだろう。
なんて、相変わらずズルイことを考える頭だ。
それでも私に時間はない。
できれば今日にでも瀬野のお母さんに会いたいけれど、それは難しいだろうか。
とにかくできる限りのことはしようと心に決め、放課後を迎えた。
もちろん瀬野に嘘だとバレないよう、まずは彼が教室を後にするまで沙彩と話していた私。
彼女も予定がないということで、駅まで一緒に帰ることになった。