愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜



「当たり前だろ。
俺たちの愛の深さはな…」


結局車を移動している間も、再び家に戻る間もずっと乙葉さんとの惚気話を聞かされてしまった。

別に瀬野の嫉妬がどうとかいう話から逸れただけ良かったのだけれど。


「じゃあ部屋で待っていてください」


風雅さんを部屋の中に案内し、そこで待ってもらう。

お茶を出してテレビのリモコンも渡したところで、ようやく制服を着替えた私はキッチンへと向かった。


「ごめん、遅くなって」

「ううん、大丈夫だよ。
風雅さんの案内をありがとう」


ほら、瀬野はやっぱりいつも通りだ。
むしろ律儀にお礼まで言われる。

瀬野は何も関係がないというのに。



「あっ、今日は生姜焼きだったんだ。
すごく美味しそう」


瀬野はすでにお肉を焼いている段階だった。
私は付け合わせの野菜を準備する。

味噌汁はすでに作り終えているようで、完成まですぐそこだった。


「確かパックご飯があったよね…」


いつも白ご飯はふたりの分しか炊いていないため、パックご飯を準備する。

レンジに入れている間に、付け合わせの野菜をお皿に盛り付けた。

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