愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「せっかくだし川上さんのおねだりするところも見てみたいな」
わざと私の耳に唇を寄せ、甘い声で囁かれる。
敏感な耳はすぐに反応を示してしまった。
それだけでは終えてくれない。
今度は耳にキスをしてきて。
どんどん心拍数が上がる。
抵抗したいのに、火照る体は思うように動いてくれない。
「やっ…」
ゆっくりと耳を責め立てられ、焦らされ。
思考が鈍くなっていく。
そのくせ彼の手は私の頭を優しく撫でてくるから、余計にわからなくなる。
「その表情、本当にたまらない」
瀬野が私の表情を確認するなり、目を細めて色っぽく笑う。
そんな彼の表情すらも私をドキドキさせる。
「…っ、瀬野」
今度は額をくっつけられる。
それも、頬を撫でながら。
ああ、またこれだ。
流されてもいいと思ってしまう。
「ダーメ、そんな顔で求められても応えてあげないよ」
「……意地悪」
「いつも川上さんは流されてばかりだから、今日ぐらいは川上さんの言葉を聞かせて?」
「……ん」
頬を撫でる手が下へとおりていく。
首筋をなぞって、背中をなぞって。
腰元まで到達したかと思うと、今度は太ももにその手が置かれた。