愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜



「家でステーキもいいね」

「でしょ?じゃあそうしよう。
付け合わせは何がいいかな」


バスが終着地点で停まり、駅に向かう途中、私たちは今日のご飯の話をしていた。

誰も高校生同士の会話だとは思えないだろう。
それでもある意味私たちらしいのかもしれない。



なんて考えながらも電車に乗り、家の最寄りを目指す。

電車を降りて瀬野とやってきたのは近所のスーパーだった。



「あっ…」

いつも通り買い物をしていく中、ひとつの商品を見つけて立ち止まった私。


それはココアの粉だった。

そういえば水族館のデートに行った時、お揃いのマグカップを買ったけれど。


結局ココアの粉と牛乳を買うことなく終わったことを思い出した。


今では普通のコップとして使っている。
なんとなく特別感がないと思っていたところだ。

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