愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「瀬野が守ってくれるんでしょ?」
「それはもちろんだよ。
川上さんを傷つけるなんて俺が許さない」
「……うん」
そんな気を張らなくていいのに。
いっそのこと邪魔者扱いされた方がいい。
瀬野に限ってそんなことはしないだろうけれど。
「じゃあ寝る前に飲もうよ、ココア。
私が作ってあげる」
「川上さんの手作りココア?
嬉しいなぁ」
「今日だけだからね。
これからは瀬野に作ってもらう」
「俺はいつでも作るよ」
そんな優しく受け入れて。
少しでも面倒だとか思わないのだろうか。
「瀬野、ご飯は?」
「もう食べたよ。川上さんが食べてくるっていうから、ひとりでご飯は寂しかったなぁ」
「今日は断れなかったの。沙彩がゆっくり話したいって言うから、じゃあご飯かなって」
「わかってるよ。
明日も休みだし、今日は夜更かしでもする?」
「……寝る」
「ひどいなぁ。でも俺が寝かさなければいい話か」
なんて、耳元で甘く囁かれる。
思わずクラッとした。