愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




ああ、本当についていない。
こんなところで倒れて、きっとみんなの笑い者だ。

本当に自業自得。


体に力が入らなくて起き上がれない。
気分も悪い。

頭がぼーっとして、だんだんと意識が遠のいていき───



次に目が覚めた時には保健室にいた。
すぐそばには沙彩が心配そうに私を見つめていた。


「愛佳…!
愛佳、大丈夫!?」

「……うん、ごめんね」

「無理して起き上がらなくていいよ!
保健室の先生も言ってた、貧血で倒れたんだって」


起き上がろうとするけれど、沙彩に止められてしまう。


「ほら、無理しないで」
「…ありがとう。でも授業は?」

「今は昼休みだから大丈夫!」


ニコニコ笑う沙彩に安心感を抱く。
彼女だけでもいてくれて良かったと。


「本当にいきなり倒れたからびっくりしたんだよ」

「ごめんね。いきなり立ちくらみがして、気づいたら倒れてて…」


立っていられないほど気持ち悪くなったのだ。
最近の不規則な生活が原因だろう。

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