愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜



「ようやく仁蘭が動いたようだな」
「……うん。涼介が昨日、みんなをアジトに集めた」

「……っ!?」


剛毅さんの言葉に頷き、さらには説明し始めた莉乃ちゃん。

一体どういうこと?


心臓が嫌な音を立てる。
けれど莉乃ちゃんは、いつになく冷静だった。



「それで、どうなんだ」

「……ここの地図は用意してくれた?
造りがわかるような」

「ああ、言われた通りな。
これをどうするだ?」

「……仁蘭はここを直接狙うつもり。
涼介にしては珍しい奇襲の形で。それも3日後に」


剛毅さんから地図を受け取った莉乃ちゃんは、それを広げて彼の隣に座った。

彼女は依然として落ち着いていた。
今いる場所の地図を広げ、指で一つ一つの場所を指していく。


「まずは4グループに分かれるみたい。
幹部は1グループにつきひとりずつ。

情報を操る翼くんだけが参加しない。
光希くんはこの場所で、悠真くんは…」


昨日、仁蘭のアジトで立てた作戦を、莉乃ちゃんは躊躇うことなく話していく。

それは明らかに“裏切り行為”だった。


どうして?
どうして莉乃ちゃんが…?

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