愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜



「そして涼介はこの裏道を通ってくる」
「……裏の通り道がバレてんのか」

「うん。あまり涼介を舐めない方がいいよ。
涼介はゆっくりと追い詰めるつもりだから」

「それで?仁蘭は全戦力をかけてくるのか?」
「多分そのつもりだと思う」

「なら挟み撃ちにすればいい。
最初は油断させる囮を用意して、背後から攻める。

雷霆の戦力も煌凰に吸収された今、それができるからな」


剛毅さんが雷霆の総長に視線を向ける。

真剣な顔つきで二人のやりとりを聞いていた雷霆の総長は、何も言わずに頷いた。


「本当にお前には感謝だ。
まさかあの瀬野が奇襲なんてな」

「涼介は追い詰められてるみたい。
これが最後になると思う。だから…」


莉乃ちゃんは一度私を睨んだ後、また剛毅さんに視線を向ける。


「確実に仁蘭を潰して。
それが条件で莉乃は情報提供したの」

「もちろんだ。
ここで絶対に潰してやるよ」



どちらも本気だった。
ゾッとするほどに。

そして莉乃ちゃんは去っていく。

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