愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「あんたのせいで、涼介は色々な危険を冒してるの。雷霆との闘いだってそう、あんたが居たから均衡が崩れた…!
あのまま冷戦状態が続いていたら、きっと涼介は危ない目に遭わずに総長の座を譲ってたのに、あんたのせいで…!」
彼女は涙ぐみながらも、怒りを叫んだ。
瀬野のことを想っているのはわかる。
けれど───
「だからってこんな事をして…仁蘭のみんなタダでは済まされない」
少なくとも怪我を負うことは避けられないだろう。
「最初は涼介も辛いだろうね、仲間を守れなかったって。でもこの闘いさえ終われば涼介は解放される、このような危険な世界から抜け出せるの。
莉乃には涼介しかいないの、涼介が唯一の理解者なの。だから早くこんな場所から抜け出して、涼介と本物の兄妹として過ごしていくの」
それは異常なまでの“執着”だった。
莉乃ちゃんは瀬野に依存している。
瀬野さえいれば、他の仲間はどうなってもいいのだ。