愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「あんたも莉乃と一緒でしょ?
涼介のために離れたんでしょ?
そこは認めてあげる、あんたのことは許せないけど」
瀬野のためであるけれど。
それでもこんなやり方はダメだ。
なんて、私も最低なことをしているのだ。
そんなことを言える資格はない。
「もう煌凰の総長に情報提供した今、仁蘭は終わり。
3日後にすべて終わるの。楽しみだね」
莉乃ちゃんは後悔のない、吹っ切れた笑みを浮かべた後、その場を立ち去った。
私はそのような彼女に何も言えなかった。
だって責められる立場じゃない。
私はいつまでも無力な人間だ。
このまま黙って、瀬野たちがやられるのを見ないといけないのだろうか。
瀬野が母親と幸せになることは願ったけれど、仁蘭のみんなが傷つくところは見たくない。