愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「こんな卑怯な真似までして勝ちたいの?」
「卑怯?
言ったはずだ、喧嘩を最小限に抑えるダメだって」
「それでこんなやり方?
卑怯以外に何があるの」
剛毅さんに訴えかけるけれど、彼の心には響かないようで。
ベッドの脇に座った彼が私の頭を撫でた。
「ほら、怒んな。
早く終わらせて、瀬野のことも忘れさせてやるから」
「こんなやり方は絶対に嫌…!」
「もう後戻りはできねぇ。
悪いがお前の意見は受けいられない」
今すぐこの場から離れようとしたけれど、きつく縛られている手足はベッドから降りることすら許してくれない。
「悪いがお前は当日までここにいてもらう。当日にハッキリとその目で瀬野の負け様を確認するんだ」
「早く解いて…!」
「たとえ大人しくなって解いたとしても、お前は軟禁状態だ。ここに来て突然意思を変えるのは良くねぇな」
剛毅さんは私の顎を持ち上げる。
怒るのかと思いきや、私の反応を楽しんでいるように見えた。