愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




このまま仲間が傷つけば、それは瀬野の苦しみへと変わることだろう。


「ねぇ、こんなやり方はやめてよ」

「いくらお前に懇願されようが、俺はこの闘いを終わらせる。俺の強さをその目で確認すると良い」


剛毅さんは私の縄を解くことはなく、部屋に私を置いて去ってしまう。

鍵もかけられてしまい、本当に私を閉じ込める気だ。
逃げ場のない部屋で、なす術がない。


ああ、本当に何もできない自分が悔しい。
結局私は閉じ込められたまま、3日が経ってしまい───


当日の朝。
剛毅さんがご飯のため、私を呼んだ。


「悪いな、3日も閉じ込めて」
「……」
何も言葉を返せないほど、私は憔悴しきっていた。
無力で弱い自分に打ちひしがれていた。

何をしても上手くいかない。


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