愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「あー、冬って中に着込んでるから脱がすの大変だよね」
これほど夏場じゃないことに感謝したことはない。
夏だとワイシャツを脱がされれば、あとはキャミソールのシャツに下着だ。
「もういいや、まずは下で」
「…やっ」
大胆にもスカートの中に手を入れる瀬野。
直接太ももをなぞって、それから首筋にキスを落として。
上からも下からもくすぐったい感覚に襲われる。
「んっ…やめ」
怖い。
手を出されることではなく、このまま流されてしまいそうなことに。
嫌なはずなのに抵抗できなくて、力は抜けていく一方で。
触れられる度にビクッと体が反応し、全身に熱が回るのだ。
触れられた部分は特に熱い。
「せ、瀬野…っ」
「───ほら、選択を間違えるとこうなるよ」
もう無理だと思ったその時、ようやく瀬野の動きが止まる。
「まだ序盤なのに、こんなヘトヘトになって。
耐えられるわけないよね?」
「…っ、そんなことない…から」
体は限界だと嘆いているのに。
心だけは強くあろうと思い、中々認められない。
「もー、川上さんの強情さには負けたよ。
今回だけだからね?」
するとまさかの瀬野が折れてくれて。
驚いたけれど、心を強く持っていて良かったとも思った。