愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
手を出されかけたけれど、なんとかギリギリのところでやめてくれて。
その後私はお風呂に入るよう促されて、それから───
「ちょうど午前4時を回ったところだよ」
「……え」
「精神的な疲労だったのかな?
すぐ寝ていたよ」
薄暗い中、目を細めて笑う瀬野に思わずドキッとした。
あまりにも大人びていて。
どこか色っぽいと感じてしまう。
「瀬野は寝たの?」
もう瀬野の前では嘘の自分を取り繕う必要はない。
そう判断した私は偽ることをやめる。
「少しは寝たよ」
「少しは…?」
「睡眠は浅い方だから、俺」
そう言ってゆっくりベッドから降りる瀬野。
私はその様子を目で追うだけだった。
「川上さん?」
「……何」
「そんなところで固まってどうしたの?もう帰らないと。もしかして、今日学校サボる予定?」
どうやら瀬野は私もベッドから降りるものだと思っていたようで、手招きされる。