彼女と私の見分けかた
あの日…菜月ちゃんとのデートは楽しくて…繋いだ小さな手の温もりを今でもはっきり覚えている。

朝、ランニングの途中で偶然出会い、パニックになりながら口走ってしまった告白。

もう一度仕切り直して、ちゃんと告白して付き合ってほしいと言うはずだった。

俺がトイレから戻ると菜月ちゃんもトイレに立ち、だけど菜月ちゃんはすぐに戻ってきて俺の前に座った。

緊張してカラカラに乾いた喉を潤すために、グラスを一気に空けて

「菜月ちゃん、俺と付き合ってほし…」

途中まで言い掛けた言葉をそのまま飲み込み目の前の彼女をじっと見つめた。

何かが…違う。

違和感…何だろう…先程までの彼女の雰囲気とまとっている空気が違う気がした。

< 101 / 207 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop