彼女と私の見分けかた
翌日から藤咲は
「菜月はわるくないから!」
と何度も謝りに来たが、俺は他のやつと席をかわり藤咲を無視して代わりにこうして叶がしつこく絡むようになった。

叶を無視してそのまま学校にむかいながら、俺は先程のたくの言葉を思い出していた。

たくがあの電車に乗らなくなれば、確かに彼女はあの時間のあの車両に乗る必要はなくなる。

話しかけるなと言ったのは俺だ。
会わないように車両を変えているのも俺だ。

だけどたくがいなくなったら…。
もう通学中に見かけることもなくなるかもしれない…。
自分勝手だがそれは嫌だ。

やっぱり俺は菜月ちゃんのことが好きで、好きなものは好きなのだ。

はっきりとした答えがでて、数日モヤモヤしていた気分が晴れたと同時に俺を呼ぶその声にようやく気がつく。

「ねぇ!ねぇってば!服部くんてば!」

突然目の前に立ちふさがった声の主に危うくぶつかりかける。
今日目の前に立ちふさがる人物は二人目だ。


「うわっ!急に目の前にでてくるなよ!あぶねぇな」

それはクラスの女バスだった。
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