彼女と私の見分けかた
俺の…せいだよな…。

デートに誘ったのも、Bリーグに連れて行って手をつないで歩いたのも俺なわけで…。

3年生に睨まれて髪を切らせてしまったのも調子を崩してスタメンを外されたのも全部俺のせいだ。

中途半端な告白をして彼女を振り回して何かを言おうとしている二人から逃げている、、、情けないな俺。

いらついて机に突っ伏している俺に、4時間目の授業を終えた同じバスケ部の隣のクラスの中井が背後からのしかかってきた。

「祥平〜!!」

「…重い…どけ…中井」

「何苛ついてんの?今日女バスの練習試合で、体育館つかえなくて部活休みだから?
いーじゃんっ!!
たまには遊んで帰ろうぜ」

「…帰んねーよ!」

「あっ!!今日来るのN女かっ!!
祥平の彼女くるんだっけ⁉試合観に行くのか!」

中井の声にクラスの男たちが騒ぎ出す。

「おーっ!噂の菜月ちゃん!」
「藤咲姉来るの祥平!」
「お前いつのまに菜月ちゃんと付き合ってたの⁉」

ったく…うるせぇな…。

鞄を持ってたちあがり、教室の後ろの方の席に座る藤咲を真っ直ぐに見つめ俺たちの目があった。
騒ぎたてる奴等にすぐに視線を戻し、後ろにまで聞こえるように大きめの声で話しだした。

「お前ら気安く“菜月ちゃん”呼ぶな!
それにまだ付き合ってないから!
…試合終わったら…今日の試合終わったら俺の彼女にしにいくから!
叶っ!昼飯行こうぜ」

教室から出ていく俺の背中にクラスのみんなの声援が聞こえ、藤咲の横を通り過ぎる時に

「菜月をお願いします。ありがとう、服部くん」

と嬉しそうに笑う藤咲と目が合い、隣に並んだ叶も嬉しそうに笑っていた。

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