彼女と私の見分けかた
「なぁ、今朝はずいぶんと楽しそうだったな」

彼女の制服の裾を掴み、そのあと手を握った瞬間、チッと思わず舌打ちした俺は、今もそのことを根にもって、小さなコドモにヤキモチを焼き軽くにらんでいる俺は、案外心が狭くて我ながら大人げない。

学校の女たちと違い、彼女は化粧っけもなく、ほんのりと微かに色づきプルんとした唇はリップだけ塗っているのだろう。

それだけでも充分に彼女は人目を引くほど色白で綺麗な肌をしている。

高い位置で髪をひとつに束ねて、緩くふわりと巻かれた髪がとてもよく似合っている。

黒縁眼鏡をかけてはいるが、その下の目はぱっちりとした二重で、眼鏡を外したらとんでもなく可愛いはずだ。

野暮ったく見せているのは多分…わざとなんだろう。

面倒なことに巻き込まれない為に。

彼氏がいる…?

そんな考えにたどりつき、イラつきながらも毎朝彼女をただ眺めているだけで、話をするきっかけも近づく勇気もないヘタレな俺の気持ちをコイツも薄々感づき、最近は自分のほうが近くにいるんだと自慢するように彼女との会話を得意げに俺に話すのだ。

コドモのくせにいい性格をしてやがる。
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