彼女と私の見分けかた
「本当は教えたくないんですけど、お兄さんにもお世話になってるので情報共有しましょうね」

俺を見上げにこりと笑うと鼻高々に自慢げに話し出した。

「菜の花の "菜" にお月様の
"月"」

「ん?」

そこで言葉を切ったコイツに首をひねる。

「ちなみに僕のことは "たく"
って呼んでください。
僕のフルネームを教えられなかったので聞くことができたのはそこまでです」

「あぁ、なるほどね。
たく、うん、でかした!」

たくの頭をわしゃわしゃ撫でまわすと、たくはムッとして俺の手を振り払った。

「なっちゃんよりおっきいからってムカつくなぁ。
僕をチビ扱いしないでよ!」

プンプン怒るたくが可愛くてもう一度頭を軽く撫でた。

「大丈夫、たくもすぐに大きくなるよ。
俺も小学生の時はチビだったからな。

俺は祥平。
祥平って呼び捨てで呼んでい
い。

菜月ね…。
たく、ありがとな」

たくは照れながらにこりと笑い、交差点で別れ際に手を降りながらこう言った。

「祥平、また明日ね!

なっちゃん、彼氏はいないってさ!じゃあね!」

たくの言葉に思考回路が停止した俺は、横断歩道を渡るたくの後ろ姿を口をポカンとあけて眺めていた。

横断歩道を渡りきったたくが振り返り我にかえる。

「よっしゃ!!」

大声でガッツポーズをする俺に周囲からの視線が集まる。

たくはそんか俺を見て笑いながら大きく手を降り、俺も、たくに向かって大きく両手を降っていた。



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