彼女と私の見分けかた
深々頭を下げている服部くんに私は目を見開いて固まり、叶くんと美月は声を殺し肩を震わせ笑っていて。

母は目尻を下げて服部くんを見つめ

「服部くん?」

と優しく声をかけた。

「はいっ!」

母の呼び掛けに、弾かれたように顔を上げた服部くんは、緊張した面持ちで母を真っ直ぐに見つめた。

「服部くんは菜月とお付き合いしてるのね」

「はいっ!」

はっきりと答えた服部くんの言葉に頬が熱をもつ。

「菜月を宜しくね、服部くん。

でも…お付き合いするのはかまわないけど、菜月をあげるにはまだ少し早いかしら?」

くすくす笑う母の言葉に、服部くんが一瞬で真っ赤になる。

「うわっ!
緊張して、なんか俺っ…。
恥ずっ!

コホン、えっと…改めまして、お母さん!
菜月ちゃんと結婚を前提にお付き合いさせていただいてますっ!」 

真面目な顔をして言い直した服部くんに、私を含め全員が、我慢できずに吹き出して声を出して笑いだした。

「えっ?ええっ!?
俺、また何か変なこと言った?

付き合ってる相手の親に会ったらこういう挨拶するんじゃないの…?」

恥ずかしそうに顔を赤くして俯く彼が、堪らなく可愛い。
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